涙人
その時。
あたしの頭にぽん、と雫の手が置かれた。
「…何本気にしてんの? 冗談だから。本気にするな。可愛げがないんじゃなくて…むしろ…」
雫は言葉を止める。
そのまま自分の髪をくしゃくしゃと掻き回しながら、早口で言った。
「…まぁ、大丈夫だから」
そそくさと部屋を出て行く雫。
ぱたぱたと雫の足音が廊下に響く。
「……はぁ…」
よかった…………
本気じゃなかったんだ…
「って… 何考えてんだろ……」