Desire kiss


「「ごめんなさーい」」

「誠意がこもってない!はいもう一度!」


何のはっせいれんしゅーしてるの?と美羽が不思議そーに、馬鹿な弟ら諸君を純粋な瞳で見ている。

私は「運動会の練習だよ?」と美羽に向かって優しく微笑んだ。もちろんこの時期運動会はない。


もくもくとみそ汁の湯気が上っている。

朝ごはんの近くで弟二人は正座していた。


「……くそ姉貴。どこかに隠し持つとされる大金のへそくりをいつか奪ってやる」

「お、おい。聞こえるぞ、馬鹿!」

「おい、なんつった仁」


私は地獄耳だと知らないのだろうか?学校から帰ってきたら、こっちがしばいてやる。


「…八宝菜、はずしちゃおうカナー」

「…!!」

びくっとして、かわいそうなジンは「や…それは。えっと、ココ姉、いつもより肌が白いゼ…」なんて思いつく限りのおだての言葉を口にしている。

まじめな、瞬(中一)は謝った。


「ココ姉…、すごく悪かったって、思ってる。俺としたことが大切なものに傷をつけてしまった…」


まさしく棒読み。
感情がこもっていなーーい。

でも、はっきり言って瞬は関係ないから許した。


「ちょ…ずるいぞ、テメ―!」

仁は悔しそうに土下座に耐える。

< 9 / 122 >

この作品をシェア

pagetop