Desire kiss
「「ごめんなさーい」」
「誠意がこもってない!はいもう一度!」
何のはっせいれんしゅーしてるの?と美羽が不思議そーに、馬鹿な弟ら諸君を純粋な瞳で見ている。
私は「運動会の練習だよ?」と美羽に向かって優しく微笑んだ。もちろんこの時期運動会はない。
もくもくとみそ汁の湯気が上っている。
朝ごはんの近くで弟二人は正座していた。
「……くそ姉貴。どこかに隠し持つとされる大金のへそくりをいつか奪ってやる」
「お、おい。聞こえるぞ、馬鹿!」
「おい、なんつった仁」
私は地獄耳だと知らないのだろうか?学校から帰ってきたら、こっちがしばいてやる。
「…八宝菜、はずしちゃおうカナー」
「…!!」
びくっとして、かわいそうなジンは「や…それは。えっと、ココ姉、いつもより肌が白いゼ…」なんて思いつく限りのおだての言葉を口にしている。
まじめな、瞬(中一)は謝った。
「ココ姉…、すごく悪かったって、思ってる。俺としたことが大切なものに傷をつけてしまった…」
まさしく棒読み。
感情がこもっていなーーい。
でも、はっきり言って瞬は関係ないから許した。
「ちょ…ずるいぞ、テメ―!」
仁は悔しそうに土下座に耐える。