春は来ないと、彼が言った。
まだ騒がしい心臓を鎮めようとしていたら、肩にかけていた鞄を持っていかれた。
うわっ、びっくりした…!!
カゴに乗せてくれるんだ…。
ひ、一言くらいなんか言ってよねっ!
心の中でささやかな悪態を吐くと、まるで仕返しと言わんばかりのタイミングで。
恢が自転車に跨り、なんの合図もなく急に漕ぎ出した。
ガタンッ!
わ、わわわわわっ!!
いきなり漕がないでよ、ばか!
「ぁいたっ」