春は来ないと、彼が言った。


背中と頭に恢の手が回って、閉じ込められるように強く抱きしめられた。


周りの景色も、音も。

五感が麻痺したように、なにもわからない。

ただ、わかるのは。


恢に触れてるところ、伝わる熱、少し乱れた呼吸。

それだけ。



「……かい…?」



熱い。


密着してる所為で恢の心臓の音が聞こえる。

どっ、どっ、どっ。

…わたしより速いかも。

それを意識した直後、わたしの脈も同じくらい速くなった。
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