春は来ないと、彼が言った。
ひとつ言われるたびにびくびくして。
きっと、面白くなかったよね。
「…恢が嫌で拒んだわけじゃないよ。びっくりしただけなの。ほんとだよ?…だってわたし、あのとき……ずっとドキドキし」
どさっ
抱きしめられたまま、身体が前に傾いた。
恢がわざと身を引いたからだ。
自分の体重を支えることができなくなったわたしは、そのまま恢の胸になだれ込む。
…掻き抱くって、こういうことかもしれない。