春は来ないと、彼が言った。


「……………ほんと、に…?」

「……嘘なんか吐くかよ」



耳元で聞こえるのは照れ隠しの甘い言葉。


無理だって思ってたのに。

ずっと、恢とはこうなれないって。

でも、こうなりたいって。

ずっとずっと、思ってた。



「…だっ、てぇ…」

「っ、泣くなよ!お前が泣くと、…死ぬほど焦るっ…」



さっきよりきつくぎゅうっと抱きしめられ、背骨が折れるかと思った。

背中が僅かに仰け反る。
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