春は来ないと、彼が言った。
嗚咽にまみれた声で。
泣いてぐしゃぐしゃになった顔で。
今のわたしは相当ひどい状態だと思うけど。
そんなことはお構いなしで。
「好き……」
もう一度、唇を重ねた。
するわけないのに桜の葉の味がした気がして。
それがおかしくて、ふたりで顔を見合わせて笑った。
わたしたちを祝福してくれるように、はらはらと桜の花びらが舞い落ちる。
桃色に彩られた幻想的な景色の中、もう一度だけ―――
みーん、みーん、みーん、みーん。