Cold Phantom [後編]
マリアさんはそう言ってポケットから車のキーを取り出した。

「風邪なんて病院に行ってパパッと治す物なんだって。寝込んでても何にも始まらないよ。」

「うーん…」

確かに…
言いたい事はごもっともだった。

でも、私には病院に中々行かない理由がある。

「車用意しておくから、祥子ちゃんも準備してアパート前で待っててね。」

「あっ…」

私が気付いた時にはマリアさんは階段を降りるところだった。

昔から行動力のある人だと思っていたけど、ここまでとは思わなかった。

「…」

仕方ないとばかりに私は外出する用意を始めた。
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