踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>
<翼、何故だ>

<何度も言ったハズだけど>

 青年の声が低くなる。

<よく考えろ。今はこんな事をしている時では──>

<どうでもいい>

<何?>

<戒さえいれば周りなんてどうでもいいんだよ>

 翼の語気が強くなった。

<戒がいれば何もいらない>

「……」

 か細く発した翼に筒井は目を細める。

 ディスプレイには、やはり戒の前でしゃがみ込みその太ももに頭を乗せる翼の姿が映っていた。


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