「卒業式と恋。」
そして、卒業式。

ありきたりな卒業式。

しかし秋と一緒にいられる最後の卒業式。

とても、悲しい、寂しい。しかし、そんな事を秋には見せられない。今まで沢山(たくさん)の時間を秋と過ごしてきていた。

友達だって、何人か出来た。秋と共有した友達だが、それでも楽しかった。そして、外は。

外は、雪が降っていた。

雪:「ありがとう、秋。」

秋:「え?なんで?」

雪:「楽しかったから。今まで・・・。」

秋:「そう、ね・・・あたしも楽しかったわ。」

雪:「えへへ!一緒、一緒!」

秋:「そうね。ふふ。」

雪:「そうだ。まだ早いけれど・・・。」

秋:「なぁに?」

雪:「あの山、登ろうよ。」

秋:「あの、桜を見たときの?」

雪:「うん!それに、海も!」

秋:「そうね・・・。いいかもしれない。」

秋は笑顔でそう言った。

想い出を辿(たど)るように雪はいろいろな所に秋を連れまわした。忘れられたくなかったのだ。

一緒にいた時間も、過ごした場所も。全てを想い出にしておきたかった。

また会えたときに、笑って迎(むか)えられるように。忘れられては困るのだ。


そして、夕方になった。

雪:「うー。寒いよぉ。」

秋:「ふふ。これ、羽織(はお)るといいわ。」

雪:「ありがと・・・。」

秋:「あっ。鼻水つけないでね。お気に入りだから。」

雪:「分かってるよぉ。えへへ・・・。秋の匂(にお)いがする・・・。」

秋:「ばか。」

雪:「えへへぇ・・・。」

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