刻の無い少女
「刻無っていうのは、その言葉どおり‘刻がない’んだよ」
「とき?時間ですか?」
「ほぼ正解かな。
刻っていうのは思い出・記憶・時間みたいなもん。
刻無ちゃん、あんたに昔の記憶はあるかい?」
「……ありません。」
「そうだろうね。記憶、つまり過去がない。そして、刻無ちゃんあんたには未来さえない。」
未来?
「これから行くはずの運命と呼ばれる道筋。
刻無ちゃんの道筋には、線もレールも何もないんだよ。」
私のみち…――。
運命?
「でも、なんで刻無って解るんですか?」
見た目は、普通だと思う、たぶん。
「それが―――――――
あたしにもよくわっかんないんだよねぇ~。」
へぇ?
となんとも抜けた返事が返って来た。
蝶さんは、頬ずえをついて空を見ていた。
空は、よく晴れていて風がそよそよ吹いていた。その風が桜を竹やぶを髪を撫でて吹いていく。
虚はまだ帰って来ないのかな?