刻の無い少女



「はぁー。」


「う~ん…。うろ、おはえり……。」


白那の着物を掴みすりすりと猫のように甘える鵯。それはどんな人にも小さな庇護欲を掻き立てた。


「どうやら、刻刈りと勘違いしておるようだのぅ。」


「!刻刈り、だと!?」


目を見張る白那を見て、珍しいものを見たと黒猫は自分の珍しいこと日記に付け足した。


「もう刻刈りではなく【虚】と名乗っているそうだ。」


「虚ねぇ。で、その虚とは会ったんですか?」


「今はいないようだ。食料調達といったところかな。」


「そうですかね。あんがい隠れて刈りでもしているのでは」


「そうだとしても、刈りをしてなんになる。」


「さて?ねぇ。」


不適な笑みを微かに浮かべた。










< 142 / 143 >

この作品をシェア

pagetop