【完】無知な彼女の周り
それからも散々乗り物乗って少し日が暮れ始めた頃
「最後はやっぱ観覧車でしょ」
そう言いだしたのはメガネ、何処までもありきたりなんだね…
じゃあ私もひとつ
ありきたりを
「ねぇ知ってる?
ここの観覧車でキスした人たちは一生幸せになれるんだってー」
都市伝説的なことを言ってみた。これでチューしやすくなったでしょ
「定員は2名様でーす」
陽気な店員さんが促してくれた。さて、主人公は誰と乗る…?
「ほら、乗って乗ってー」
主人公と一緒に乗ったのは
夏勿という名のメガネでした。
「次の方どうぞー」
ドン――
「うわぁっ!!」
バタン
無理やり観覧車に乗せれて誰?って前を見ると不良が座ってました。まぁでも関係無いし、主人公がいつチューするか見てよ
「……おい、お前」
「なんですか?」
「さっき、お化け屋敷を出る少し前、勝手に手解いただろ?」
「はい、だって好きな人に誤解されたくないと思いまして」
「好きな人って…可奈子の事言ってんのか?」
あら、呼び捨てにしてたの?
「はい、あ、もう自覚済みでしたか」
「自覚済みっつーか、好きじゃねーって」
「なんだ。自覚はまだでしたか」
「しつけぇなぁ
違うってんだろうが」
あーそーですか
知ったこっちゃねーよ
「あ、キスした
春雄さん先越されましたよ」
「だから」
ダンッ―
顔の横のガラスに手を着かれ逃げられなくなって、徐々に近づく不良の顔。一方私は、やっぱイケメンだなぁーとか考えてる
「違うって言ってんだろ」
そういって迫ってくる唇が触れそうなギリギリで不良の口を手で押さえた
「相手が違いますよ?」
なにに血迷ったか、先を越されたのが悔しいのか、私にチューしようとした不良。現実に戻ったのか、離れて向かいの席の座る
「お前ほど鈍い女は知らねぇ…」
呟いた言葉は
私の耳に届かなかった