先生~あなたに届くまで~

「お?
 もう終わりそうだな!!
 さすが浅川!!仕事が早い!!」

先生は満足そう。

「最後の何枚か位は手伝わないとな!!」

席を立って
机を挟んで正面に先生が来る。


「浅川って苦手なことあるの?」

先生はプリントを重ねながら
突拍子もない質問する。


「苦手な事...。
 んぅ。運動系は得意ではないです。」

「へぇ!!意外!!
 運動神経よさそうなのにな!!」

驚いたという顔をしてこちらを見る。


「見かけ倒しです。
 先生は運動得意そうですよね?」

と言うと「ははは」と笑いながら


「おう!!
 中高は野球して
 大学はテニスしてからな!!」

と先生が言うから


「へぇ。
 大学でテニスってチャラそうですね。
 先生は期待を裏切りませんね。」

私は嫌味っぽくそう言った。


「棘があるねぇ!!
 って俺はチャラくないんだって!!
 浅川にはどう見えてるのかね。」

と先生はわざと不機嫌そうにして見せた。


それがおかしくて

「冗談ですよ。
 先生はどこの大学だったんですか?」

と笑いながら尋ねた。

「大学?F大だよ。
 俺昔から教師になりたかったからさ。
 教育学部のしっかりしてる
 F大って決めててさ。
んで1本で受けたからさ
すべり止めも受けろって
凄い反対されたんだわ。」

ははっと笑いながら
話す姿がいつも以上にかっこよかった。


「へぇ。何か先生らしい。
 先生が先生になってくれてよかった。」

私は納得しながら思わず本音を漏らした。


「嬉しい事言ってくれるねぇ。」

先生はふざけた口調でそう返した後

「よしっ!!終わった!!
 今日はありがとな!!」

とプリントの束を集めた。



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