【短】「好きだよ」~伝えないと決めた想い~
そんなあたしに気付いたのか、先生が近づいてきた。
「や、ちょっと待って。あたし今顔見られたくないから…」
言い終わるか終わらないかと同時に、あたしの視界が暗くなる。
…あたし、抱きしめられてる?
先生の心臓の音が聞こえる。
それ以上に、あたしの心臓は大きく動いていると思う。
どうして?
なんで?
何が起こったかわからず、顔を上げようとすると。
「顔、見ないから。」
え?
「こうすれば顔見えないから。
だから、泣きたいときは思いっきり泣けばいい」
「先生…」
それをきっかけに、今まで我慢してた分の涙が出てきた。
先生は、ずっとあたしの頭をなでてくれていた。