真輔の風
しかし、それを食い物にするやからがいるとは…
そんな気持を表した眼差しで栄作は高橋の次の言葉を待っている。
「話がずれましたが、
その飛び降りた女子高生は妊娠していました。
それで初めはそれを苦に、と思っていましたが…
ボーイフレンドと名乗る男が現れまして…
生まれたら、その男の母親が赤ん坊の世話をすることになっていて、
二人の間では何も問題は無かった、と言い張りました。
自殺の原因は、
変な奴らに脅されて売春をさせられていたからだ、と言うのです。
勿論今のところ何も証拠はありません。
その男は真面目に働いているとび職です。
付き合いだして七ヶ月らしいですが…
もし、その話が本当でしたら、
妊娠を苦に自殺ということはなく、
売春を強要されたときに開き直って奴らを脅した、
という可能性もあります。それで… 」
「影にいたのが暴力団か。
自殺に見せかけて殺したというのだな。」
「はい、可能性ですが… 実はまだありまして…
金を要求された男の一人が、
初めは仕方がない、と思って払ったものの、
翌週になってまた職場まで現れたので、
少しは腕に自信があったらしく殴って追い返したのです。
そしたら帰り道、複数の男たちに待ち伏せされて袋叩きにあい、
今も入院しています。
彼の証言から、相手は喧嘩なれしていた、
暴力団のようだった、という言葉が聞かれていますので… 」