僕の愛した生徒
僕たちが付き合っていても、
学校では奈菜もただの生徒でしかない。
当然の事ながら特別扱いも一切しないし、
奈菜もそれは何も言わなくてもわきまえている。
だから今も奈菜が学校で僕に話しかけてくることは無いし、相変わらず大人しい藤岡奈菜でいる。
でも、僕と二人だけで過ごす時間の奈菜は、生徒である藤岡奈菜とは少し違っていて、
物静かなイメージは欠片も無い。
感情を隠せないであろうことは分かっていたけれど、
奈菜は体全体でそれを表現し、
僕に甘える姿は無邪気な子どもそのもの。
自然と広がる笑顔に
小動物みたいな拗ねた顔。
それは僕だけに見せてくれる特別な顔。
しっかり者に見えるが、実は肝心なところでヌケていたり、
几帳面そうなのに、おおざっぱだったり。
そして
奈菜がよく見せる
玲香の顔や仕草。
僕にはそれがたまらなく愛おしい。
もっと
玲香と一緒にいたい…
奈菜が僕の願いを叶えてくれる気がした。