僕の愛した生徒


僕たちがゆっくりと園内を回ると
そこには

寛(くつろ)ぐライオン。
やたらと歩き回っているトラ。
喧嘩しているサル。
ヨチヨチ歩くペンギン。

奈菜は目を爛々と輝かせながら動物たちを見ていた。


そんな奈菜は表情をコロコロ変え

正直、僕は動物を見るよりも、奈菜を見ている方が楽しかった。


嬉しそうにシマウマを見つめている奈菜の横顔に、僕は思わず微笑んでしまう。



奈菜は高校生と言っても、
やっぱりまだまだ子どもだな。



そんな事を思っていると、
奈菜が不意に僕を見る。


「先生、何、にやけているの?」

「いや、別に」

「本当に?」


奈菜の僕を疑うような眼差し。


「奈菜はやっぱり子どもだなって思ってさ」

「私、高校生だよ。子どもじゃないもん」


奈菜は口を尖らせてそっぽを向いた。

でも、拗ねる奈菜に僕が


「シマウマがこっち向いたぞ」


と言うと


「えっ!どこどこ?」


奈菜は慌てそのシマウマを探した。


その姿に僕はまた笑ってしまう。


「ほら、そうゆうところが子どもみたい。

でも、それが可愛い」


奈菜は顔を赤くしながら
“もう〜先生のイジワル”
といって頬を膨らませた。


僕はそんな奈菜の頭を子どもをあやすみたいにヨシヨシ撫でる。


「どうせ私は子どもだもん。
でも、その変わり先生はおじさんだからね」


ムキになる奈菜に
“はいはい”と僕が答えると
奈菜は悔しそうな顔をして、

また、そっぽを向いた。
< 71 / 207 >

この作品をシェア

pagetop