僕の愛した生徒


園内に入ると

土曜日とゆう事もあり、
家族連れやカップルで賑わっていた。


走り回る子どもに、
大きな荷物を片手に抱え、ベビーカーを押すお母さんや
小さな子どもの手を引くお父さんの姿。

手を繋ぎながら歩くカップル達。



そう言えば、動物園に来るなんて何年振りだろう?


僕は辺りを見渡しながら懐かしさを覚える。


その中で人混みをすり抜け僕の前をぐんぐんと進んで行く奈菜。

僕はその背中を追う。


奈菜はキョロキョロして、
写真を撮ったり
たまに後ろを歩く僕を振り返って手招きする。


僕はそんな奈菜の後ろ姿を
目を細めて眺める。




「先生、遅いよ」


僕を待ちきれない奈菜が傍に来る。


並んで歩いていると、奈菜は何かを見つける度に

『ねぇ、先生』

『先生?』

と隣にいる僕を呼ぶ。


そんな奈菜の顔には無邪気な笑顔。



僕が一番好きな奈菜の顔。

それがどれだけ僕の心を満たしてくれるのかなんて

奈菜は知らないんだろうな?
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