プラトニック・ラブ
あたしは躊躇いがちに受話器を取った。
同時に鼓膜を突き破るほどのデカイ声があたしの耳を襲った。
「いつまで寝てんだッ!?」
あたしは慌てて受話器を耳から離す。
ビビっ…ビックリした…!!
死の電話とかだったら笑えないよなぁ、なんて思っていたから余計にビビッタ。
けれど相手が迅だと分かった途端に安堵した自分がここにいる。
「ご…ごめんなさい…?」
「あぁ?! なんだその疑問系は!!」
ひぃーっ!!
何だか分からないけどすごく怒っていらっしゃる様子。
機嫌がすこぶる悪いのはこの声を訊いただけで分かる。
こんな迅は初めてだから、あたしはどうしたらいいのか分からずにアタフタするばかり。
受話器越しの声なのに、あたしの目の前で怒鳴られているような感覚になるほど恐い。