執事と共にホワイトデーを。
「……とりあえず、まずはお薬を」


春樹は、恵理夜分の錠剤の入った袋を差し出した。

そして、自分の分の薬も取り出した。


「……増えちゃったわね」


恵理夜は、春樹の薬の包みを見てぽつりと言った。


――二人は、薬によって命を繋いでいた。

二人とも、病名は違うが血液の病を抱えていた。

その体に流れる血液は、ひどく不完全なものだった。

おかげで感染症に弱く、春樹は、風邪一つ引いただけで、先日 まで入院を余儀なくされていた。
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