年下王子は意地悪王子
「―――――……教師である前に俺は、琴音の“兄貴”だ」
凛とした颯ちゃんの声が、狭い室内に響く。
「俺たちの行動が、軽率であったことは認めます。しかし琴音だけを責めるのは、それこそ、教師としてどうかと思いますが」
颯ちゃんの言葉に、ぐっ…と詰まる先生。
それに追い討ちをかけるように、颯ちゃんは言葉を重ねる。
「自分の勝手な了見で、俺の可愛い“妹”を泣かすのは、許さない」
颯ちゃん―…
キュッと腰に回した腕に力を込めると、颯ちゃんはあやすようにあたしの頭をぽんぽんと撫でた。
「むっ…せ、せいぜいこれからは気をつけなさい、藤木先生っ」
鼻息を荒くしながらガタンと席を立った先生は、大股でドアに歩み寄る。
「わざわざご忠告、ありがとうございます、先生」
ニッコリと微笑みながらそう言い放った颯ちゃんに、悔しそうに唇を噛みながら、先生は部屋を出て行った。