ダイヤモンド


「……トモミ……」


すでに、彼は私のいるベッドに腰かけて私の頭を撫でている。





彼の長い指が私の頬を流れるように撫でた。





彼の瞳が長い睫毛によって伏せられる。





………キス







「………や…。」




私は彼のキスを拒む。



途端に彼は哀しそうに笑う。




「そーだったな。忘れてた。」



「忘れないで。何回言ったら分かるの?」


余裕の笑みを無理ヤリ作る。


ほんとは凄く…



彼にキスされたい。





彼のキスを知りたい…





でも、彼が失恋をわすれてくれるまで


私を好きになってもらうまで



キスは




ダメ………









< 110 / 139 >

この作品をシェア

pagetop