Secret*Hearts

不安そうに俺を見つめていた華梨に一度頷き、俺は口を開いた。


「……単刀直入に言います。俺には、この浅井家のこととか、家と家の付き合いとか、そういう類の話はあまりよくわからないけど。でもそのせいで苦しんで、泣いている華梨の姿をずっと傍で見てきました。」

「…それがどうしたというんだ。ここが華梨の生まれた家だ。生まれた家のしきたりに従って、多少犠牲を払うのは仕方の無いことだろう。」

「確かに、そうです。だからこそ華梨も、苦しみながら必死にご両親の望む娘になろうとしていました。」


そんな華梨の姿を、俺はずっと、華梨に一番近いところで見てきた。
本当の自分を評価してもらえない悔しさ、悲しさ、そういうのを全部ひっくるめて俺は知っているつもりだ。


「きみは、そんなことをわざわざ話しに来たのか?他人様の家庭に、お前ごときが口を出そうなんざ、十年早い。……まったく、時間の無駄だ。聞いてやる価値も無い。さっさと帰ってくれ。」


苛立ちを露わにし、そう言って華梨の父親は立ち上がり、俺に背を向けた。その後ろを、母親が続く。
それを追いかけるように俺も立ち上がり、ドアに向かおうとしていた彼の前へと立ちふさがった。

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