二人のおうち
 

「お待たせいたしました。きのこソースのパスタでございます」
 

 
暫くして、店員が沙帆の注文したパスタを持ってきた。沙帆の前にそれが置かれ、間もなく洋太の注文したセットメニューも運ばれてきた。
ハンバーグにパンプキンスープやパンがついている。
 

 
「頂きます」
 

 
沙帆はフォークとスプーンを持って食べ始めた。それを洋太が眺めている。
 

 
「……洋ちゃん」
 

「どうした?」
 

「そんなに見られると食べにくいよ……」
 

 
困ったように言う沙帆に、洋太は悪い悪いと笑いながら謝って、自身も食べ始めた。
 

 
「美味しい……」
 

「そうか?口に合って良かった」
 

 
ふと、沙帆は自分が洋太と「デート」をしているのだと思った。
周りからは恋人同士のように見えているのだろうか、変な期待に胸が高鳴る。
 

悶々と考えながらフォークを無意識に動かす。そうして、あっという間に食べ終えてしまった。
 

 
「……ご馳走さまでした」
 

 
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