二人のおうち
きちんと合掌して言う沙帆に、洋太は微笑んでいた。間もなく洋太も食べ終えて、二人は席を立った。
洋太は領収書をひらりと掴み、沙帆の肩に手を添えて店員を呼んだ。
「支払いを、」
「はい、ありがとうございます」
洋太が店員に領収書を手渡し、店員がレジを打つ。
沙帆はハッとして洋太を見上げた。
「洋ちゃん!お金、」
「ん?」
「あ、」
沙帆の視線が洋太に向いている間に、洋太は支払いを済ませてしまった。
「そんな、困るっ……」
「沙帆が心配することじゃない」
納得できず申し訳なさそうに肩を落とす沙帆の背を押して、洋太は店のドアを開く。店内から「ありがとうございました」という声が響いた。酷く店員の指導が良いらしい。