クイヌキヤ
彼は老婆が何を言いたいのか分からなかった。


しかし、ずっと縛られている過去から解放されるなら

そうしてもらいたいと思い、


彼は頷いた。


「そうか…わかった。

 じゃあ、お前さんのクイを抜いてやろう」


「どうやって抜くんですか?」


「簡単なことじゃ、過去を変えればいい」



???


過去を変える?


そんなことが本当にできるのだろうか?


「大丈夫。過去さえ変えれば、お前さんのクイは抜ける」


そう言って、老婆は彼に目をつむるように促した。


「いいか、ワタシには過去が見える。
 
 あの日、女が風邪気味だと言って会社を休んだ日。

 お前の部屋で何があったのかを見てやろう。

 それが、お前さんにとってどんなに残酷なことであろうと、

 ワタシはお前さんに全てを話そう…。
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