あたしの愛、幾らで買いますか?
「着いたよ」


あたしの方を見ずに、

サイドブレーキを引く。

3ヶ月前と同じ海岸。


―ザン…ザ…ン…


波の音がする。

潮の香りはするけれど

夏のときとは少しだけ違う。


あたしは助手席から降りて

走って駐車場の柵のほうへ近付く。

朔羅はオートで鍵を閉め、

コツコツと靴を鳴らして

あたしの後をゆっくりついてくる。


「あゆ、
 走ると危ないよ」


時折、朔羅が

グッと大人に見えるときがある。

そう言えば、

あたし、本当に朔羅の事

何も知らないんだな。



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