恋の家庭教師

蓮くんはジャケットのポケットに右手を入れた。

「一人じゃ寂しい?」

これ以上、
蓮くんに甘えちゃダメだ…。

咲坂くん傷つけたのに、
自分だけ幸せな思いしちゃダメ…。



「…一人でも大丈夫。」

そう言わないと、
彼女いる蓮くんへの思いが止まらなくなりそうだから…。

辛いけど、
自分の気持ちに正直になりたいけど、

蓮くんにも、
彼女さんにも、
迷惑かけたくないから…。



「これ…」そう言いながら、
蓮くんが右ポケットから何か取り出して、私の手に乗っけた。

「…?」

手のひらを見ると、
サファイアのキーホルダー。

「おまえの誕生石。寂しくなったらそれ見ろ。俺大学あるし、いつでも駆けつけられるわけじゃねぇから。」

「ありがと…」


私が9月生まれなの…
知ってたんだ…?

…一生大切にするよ。
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