初めての恋
チビ透の好きな人を聞いて、あたしにどうすれっていうの?


薄暗くなった帰り道、玄関で透と一緒になった。


「麗、今帰りかぁ~お前は、襲われる心配はないけど…しょうがないから一緒に帰ってやるよ」


「なに~!それってどういう意味。ムカつく」


小走りに学校を出た麗を追いかけるように、透が追いついてきて腕をつかまれた。


「ごめん麗。冗談だって。怒るなって~」


「うるさい!」


「今日さ~麗の友達の…歩美だっけ。俺に付き合ってほしいって言ってきてくれて…でも…」


「断ったんでしょ!聞いたよ。それも好きな子いるって言ったんだって~?」


「言ったよ…」


「透の好きな人、聞いてほしい。聞かないとあきらめきれないって!」


「俺の好きな奴聞きたいの?」


「あたしが聞きたいんじゃなくて…」


「ねぇ、麗。俺って麗の何?」


「は~?それってどういう意味」


何だか麗はイライラしてきた。透は自分に、どんな答を求めているのだろう。


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