虹が見えたら

学校まで帰って来ると、自宅生や自宅に戻る予定の生徒の家族がみんな迎えにきていた。

なるみは、真樹や伊織は仕事だと聞かされていたので、とりあえずは寮へもどろうと学校の門へ向かおうとしていた。



「なるみ!こっちだ。」

声の方を見ると伊織が手を振っていた。


「お兄ちゃん、仕事っていってたのに迎えにきてくれたのね。
もうすぐ夕飯時になっちゃうのに大丈夫?」


「大丈夫だから来てるんだ。
あ、歩きながら話そう。」



「何?」


「じつはな昨日、真樹が交通事故に巻き込まれて、怪我をした。
近所の小学生3人ほど歩いてたところにバイクが突っ込んできたんだけど、真樹がその子たちを助けたのはよかったが、足首を骨折してしまってな。」



「えっ・・・じゃ、入院してるの?」


「いや、寮にいるんだが・・・。」


「それじゃ、立てなくて不自由して困ってるのね。
早く帰ろう。」



「お、おい・・・不自由だけど別の意味で不自由なんだけど・・・」



なるみが慌てて寮の管理人室に行ってみると、困った顔をした真樹が仕事用のデスクの前に座っていた。


「真樹さん、仕事しちゃっていいんですかぁ!!
お腹すいてるでしょ。
今、私が・・・・・あれ? な・・・なんですか、これ。」



管理人室には台所に3人、事務室内に3人、外に2人と先輩らしき人たちが働いていた。


「あ、なるみちゃんおかえり。
僕としたことが、ドジふんでしまってこの通り動けなくてね。
学校まで迎えに行けなくてごめん・・・」



伊織がなるみに耳打ちして状況を説明するには、真樹のことを気にかけている学生が身の回りの世話に押し掛けたということだった。
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