虹が見えたら

伊織に確認すると毎年、虹色寮ではお祝会をしていてそのためのメニューもすでに考えてあったらしい。


なるみは虹色寮って素敵だと思った。
そして、ここへ入れるようにしてくれた真樹にまた感謝を・・・。



「私さっきからずっと幸せだなぁって思うたびに、真樹さんのことばかり。
お兄ちゃんだって私のことたくさんフォローしてくれてるのに、なぜか感謝しちゃうのは真樹さんに・・・もしかして私。」


寮のパーティーが終わって伊織と片付けをしていると、伊織がさりげなく話してきた。


「さすがにさびしいって顔してるな。
あ、おまえだけじゃなくて、寮のみんながな。」


「そうだね。ここにオーナーがいてくれたらって寮長もはっきり言ってたもんね。」


「卒業式に真樹がいないなんて初めてだからな。」


「真樹さんは元気でやってるのかな?
引き継いでくるって言ってたけど、1年くらいかかっちゃうのかしら。」



「そんなことはないと思うけどさ、TSWコーポレーション側の取締役たちが真樹の才能をよく知ってるだけにほんとのところは真樹に社長をやってほしいみたいだけどな。
けど、そんなことは真樹はのぞまないだろうし、自分が信頼のおける社員っていうか、仲間の方があいつは心を許せるから百歩譲ってもTSWの取締役の1人くらいで許してもらうんじゃね~かな。」



「そうだよね。真樹さんのスーツ姿もいいけど、毎日となるとうっとおしいもんね。
やっぱりクマさんエプロンにホウキ持ってる方が話しやすいな。」


「クマさんはやだって言ってたんじゃね~のか?」



「ん?最近はクマさん慣れちゃったのよ。あはは。
あのさぁ・・・お兄ちゃん。
じつはね、クラスの友達5人で卒業旅行行きたいね~って話が出たの。

あっ・・・そんなの私は無理ですよね。
寮に住まわせてもらって学校卒業させてもらって、大学まで行かせてもらうんですから・・・」



「いくらあったらいいんだ?」



「お兄ちゃん!!!ありがと。」
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