虹が見えたら
なるみは理由はわかっていた。
郁未を立派な社長にするために、いろいろ策を練っては仕事しながら教えてるんだ・・・。
鳴海医師に食事のことは努力する返事をし、診察のお礼を言ってなるみたちは病院を後にして保育園にもどった。
保育園にはちょうど発熱した子の母親が来ており、何度もお礼を言っていた。
桐谷から、病院や薬の説明をきいた親子はそそくさと家へと帰っていき、なるみはほっと一息ついた。
すると桐谷は笑いながら言った。
「頼りにしてしまうよね。
真樹さんは人脈もすごいんだもんな。」
「ええ・・・。」
「なんか知らない顔の真樹さんを見たって顔してるね。
対抗とまではいかないかもしれないけど、僕にもなるみちゃんが知らない顔はある。
それはお互い様じゃないのかなぁ。
その知らなかったことが、少しずつ見えたり、見えそうで見えなかったりするから、もっともっと相手のことを知りたくなっていく。
それが恋の魔法・・・なんちって・・・。」
「あははは、キリちゃん先生、カッコよくないです。あははは」
「あ~~~ひどいなぁ。けっこう二枚目で決めたつもりなのに。」
なるみは虹色寮にもどると、伊織に鳴海医師に言われたことを伝えて真樹専用のメニューを考えてもらった。
そして、早速レシピ通りに作ってみる。
「なぁ・・・おまえだって忙しい時期なんだからさ~。
無理して料理しなくってもいいんだぞ。」
「べつに無理なんてしてないし。
私だけのほほんと学生して自分の進路だけ進むなんてできないよ。
ここまでさせてもらった人が大変なときだから、ご恩返ししなきゃ。」