虹が見えたら
なるみが試作品として作った料理を真樹が食べ終わると、伊織となるみは献立の相談の続きを始め、真樹は管理人室の風呂場へと向かった。
そして、なるみは食堂から自分の部屋へ帰る途中に管理人室の様子を見た。
「えっ!?」
真樹がソファーで裸のまま倒れている。
「真樹さん!どうしたんですか。」
「あ、ごめん・・・あんまり眠くて、つい寝てしまった。」
「ふぅ・・・おどかさないでください。
あの、ひとりで寝室まで行けますか?」
「無理っぽい・・・ちょっとふらつく。
すまないけど、部屋まで肩かして。」
なるみは真樹の寝室までゆっくりと体を支えて連れて行き、ベッドへ座らせようとしたときだった。
真樹の腰に巻かれていたバスタオルが床に落ちて、なるみも声をあげる前にベッドの上に落ちていた。
なるみの真上に覆い被さるように真樹が倒れ込み、少し目を開いて呟く。
「今ほど悔しいと思ったことはないよ。
なるみをひとりじめできるチャンスだというのに、体に力がぜんぜん入らない。」
「な、何言ってるんですか・・・あの、私もう、部屋にもどらないと。」
「嫌だ。今夜はなるみとこのまま寝る。
・・・・・あ、なるみは頭悪くなんてないよ。
頭もいいし、かわいいし、優しい。
もう、誰にも触れさせない。
沢井だろうが・・・先生だろうが・・・なるみは俺が・・・」
「あの、真樹さん?そのまま寝ないでくださいってば。
やだ・・・こんなの。誰か来ちゃったら。鍵かけてないのに。」