虹が見えたら
なんとかモゾモゾとベッドから自分だけ転げおちるようにその場を逃れたなるみは、爆睡中の真樹に布団をかけて、管理人室の戸締りをして部屋へもどった。
翌朝、真樹の体のことが心配でなるみは管理人室に行ってみた。
ベッドの上に真樹の姿はなく・・・なるみがベッドの上に手をあててみるとまだ温かい。
どこかにいるのかと立ち上がろうとしたとき、後ろからすごい衝撃が。
「きゃっ!」
うつ伏せになるみは突っ伏してしまった上から半裸の真樹が笑いながらのしかかってきた。
「おはよう。心配して見に来てくれたんだ。
朝いっしょに目覚めたかったのに・・・ってそれは許してあげる。
目覚めのキスはできそうだからね。」
「ま、真樹さん、まだ寝ぼけてるんですかぁ?
それとも、またからかって・・・うっ」
上から押さえつけられたまま、なるみは避けることもできないキスをされた。
なるみはただジタバタするばかりだったが、すぐに暴れるのをやめて真樹の顔をながめる。
「また、悲しそうな顔してる。いつもこんなときって・・・」
そうなるみが言いかけると、真樹はなるみの左右の手をそれぞれに押さえつけ、左手の薬指に指輪をはめさせた。
「こんなものでなるみを守れるとは思わないけど・・・今は自由がきかなくて。
なるみをしばりつけるのは気がすすまないと思っていたけど、僕の方がもたないよ。
抱き合ったわけじゃないってわかっているのに、他の男のにおいがすると心配で心配で。
ごめんね。なるみが本気で好きになった人と幸せになるのを望んでいたのに、それがいちばんだってわかっているのに、女々しいことしてる。」