虹が見えたら
門を開けて入ると声がして。
「おかえり、なるみちゃん。」
「えっ・・・どうしたんですか?
その格好って管理人できるようになったんですか?」
真樹がなるみと虹色寮で始めて会ったときのエプロン姿で近づいてきた。
「話をするにはこの方がしやすいかなぁ・・・なんてね。
ほんとはまだ本社通いではあるんだけど、ちょっとね。
あ、もう直樹氏の関連ある会社のことはしなくてよくなったんだ。
郁未くんがすべておぼえてくれたからね。
ほんとに優秀な子だよ。
帝王学にもともと興味もあったし、それでいてお母さんのいいところも引き継いでいて、とても仲間を思いやるし、仕事もきめ細かい。」
「そう。これでぐっすり眠れるね。
私も無事に就職できるし、あとは卒業するだけなの。
学費や身の回りのことでお世話かけずに済みます。」
「そのことなんだけどさ・・・えっと。」
「あのね、荷物置いてくるから真樹さんのマンションで話したいな。
ダメ?」
「いや、ダメじゃないけど・・・でも。」
真樹はなるみの言葉に推されて、管理人室の戸締りをすると車でなるみを待った。
なるみは普段着に着替えてすぐに車に乗り込み真樹のマンションへと2人は向かった。