虹が見えたら
真樹はチラとなるみの顔を見て、不安げに言う。
「そこはね、僕がなるみと本当の家庭を築くための家だから。
いや、なるみがずっと僕の面倒をみてくれるための場所っていった方がいいのかな。
あ・・・また誤解されては困るな。
つまり、結婚してほしい。僕と・・・」
「ええっ!!!!」
「だ、だめなのか。沢井とか保育園の先生とフリーに付き合いたい時間がほしいのかい?
それはもうダメ。僕が嫌だと言っても?
君のお父さんのお葬式のときで見たときからずっとこの娘は僕のそばに置きたいって思ってた。
まだ若くて、そんなエゴが親切だと信じてた。
だんだん大人になって、なるみは僕の意思どおりに動く女性じゃないから魅力的なんだって思うようになった。
近づきすぎず、遠ざからずにずっとながめていればって・・・。」
「ながめてなんかないじゃない。
大人のキスなんていきなりしたくせに!」
「ごめん。かわいくて仕方がないものが目の前に来てしまったら、抑えきれなかった。
過去につきあった女性と同じわけにはいかないのがわかってるくせに、無性に奪いたくなった。
けど・・・僕の負けさ。
奪ったのは俺なのに、胸が熱くなって倒れてしまいそうだった。
挙句の果てには罪の意識まで芽生えてしまって・・・バカだ。」
「ふふふふ・・・真樹さんってまた一人称が混ぜこぜ。
どきどきしてるのがすぐわかっちゃうんだもん。
お年のわりにかわいいからずるいわ。」