虹が見えたら
なるみがそういって、真樹の顔を見上げると真樹がまたクスクス笑っていた。
「作戦成功・・・・・だね。」
「え・・・!?」
「何でもいうことをきいてくれるんでしょう。
資料できたのから順番にファイルにとじていってくれる?」
「はっ?」
「なるみが今からすることをいう。
シャワーを浴びて、そこのTシャツとズボンに着替えたら、すぐに仕事にとりかかってくれたまえ。以上!
さぁ、入った、入った。」
「ま、真樹さん・・・!」
なるみはシャワーを浴びながら、ため息をついた。
「普通こういう展開ってさ・・・ひしっ、と抱きしめあったりとかしたり。
服を脱がしちゃったりとか・・・きゃっ!なんてならないのかな。
やっぱりそういうのってドラマだよねぇ。
けど・・・真樹さんって何者なんだろう。
直樹さんって腹違いのお兄さんって言ってたけど、仲が悪いのかなぁ。」
なるみがシャワーを済ませて真樹の仕事部屋に入ると、山積みのファイルが置いてあった。
「あ・・・これ全部なんですか?」
「そうそう、早くとりかかってね。
じゃないと深夜残業も超えちゃうかもしれないから。」
「わ、わかりましたっ!」
夕食もピザの出前でさっさと済ませ、2人でひたすら資料の用意をし続けた。
ちょうど0時が過ぎようとしたとき、最後のファイルができあがって、真樹は椅子から立ちがって大きく体を伸ばした。
「うーーーーん!日付が変わる前に出来上がったよ。ありがとね、なるみちゃん。
あれ?」
なるみはソファーの前でテーブルに顔をつけたまま眠ってしまっていた。