虹が見えたら
なるみが目を覚ますと朝になっていた。
「あ、寝ちゃったんだ・・・あれ、ベッドの上。
ここのベッドはシングルだし、私ったらまた真樹さんのベッドを占領しちゃったんだ。」
台所に行ってみると、真樹がダイニングテーブルの前に座って新聞を読んでいる。
すぐになるみに気付くと立ち上がって椅子をひきだした。
「さぁこちらへどうぞ。
伊織ほどうまくはないけど、朝食作っておいたよ。
食べ終わったら寮へもどるからすぐ着替えて学校へ行っておいで。」
「真樹さんお仕事は?」
「ああ、もう1つ済ませて来た。
なるみちゃんのおかげで、ファイル全部仕上がったからね。
管理組合すべて今頃行きわたってると思うよ。
ほんと、ありがとうね。」
「私なんか夜中になる前に寝ちゃったし・・・。
ベッドまで占領しちゃって。
真樹さん、まともに寝てないんじゃないんですか?」
「そんなことないよ。
あっちの部屋のソファはベッドになるからね。
そこでちゃんと寝たし、これから寮へもどったらそこでもちょっとだけ寝れるしね。」
「あ、・・・おいしい。
はぁ。」
なるみはため息をついた。
「おいしいと言っておきながら、なぜため息をつくの?」
「だって、真樹さんあんな激務こなして、私なんかの食事まで作って、それでまだ難しそうな新聞読んでるんだもの。
私には、そんなこととてもできませんよぉ。
つくづく、私ってバカでのんき坊主にできてるなぁって思い知らされてます。
その上に私は迷惑かけないとか、手伝うとか偉そうなこといってほとんどお役にたってないし。」
「そんなことないって。
少なくとも、昨日のファイル仕上げてくれたのは大感謝だよ。」
「でも、高倉くんちに行かなかったら当たり前に終わっていた仕事でしょ?
足をひっぱったんだから手伝うのは当然です。」