虹が見えたら

そんななるみの心を察したのか、管理人室の前に真樹は車をつけると、


「僕はなるみちゃんにいっしょに居てほしいと思ってるから。
いっしょに居る時間がうれしいから。」



それだけ言って手をふっていた。

なるみは時計を見て、慌てて自分の部屋へと駆けこんでいった。
すぐに着替えて、登校する。


昼休みに寮生のなつきに食堂で根掘り葉掘り前の日のことを尋ねられた。


「オーナーと朝帰りしての登校だったわね。」


「な、何かよくない想像してる?」



「だってぇ、家族とか保護者っていっても独身の男と女が朝帰りっていうのはねぇ。
想像するなって方がムチャでしょ。うふふふふ」



「仕事。うそいっても仕方ないから言うけど、仕事場で仕事してたの。
いや、させられていたという方が正しい。
管理組合用のファイルに資料をいっぱいとじていく作業。
真樹さんの仕事場に問い合わせてもらってもいいわよ。」



「なぁ~~~~んだぁ。2人して寮に帰ってこないから伊織さんにきいたわよ。
伊織さんも知らないっていうんだもの・・・これは!!って思うじゃない?」



「なんでこれは!って思うのよ。」



「だって、なるみはどんちゃんだからわかんないと思うけど、オーナーのなるみちゃんを見る目はもう大切で大切でたまらないぃーーー!って目で見てるんだもの。

先輩たちが言ってたけど、去年までは寮生にもちょっととっつきにくいところが多かったらしいし、どんなに彼に寄って行く女がいても冷たい仮面は落ちることがないって有名だったらしいわよ。

それがさ、なるみがきてからというもの、冷たい仮面がはがれちゃってお歳のわりにかわいくなっちゃって。」



「そ、そうなの?」



「もう、なるみ。カマトトぶるのはやめなさいよ~。
あんたほんとはわかっててやって・・・あれ、まじで何も感じなかったの?
まじでどんちゃん・・・天然・・・。」

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