虹が見えたら
結局、真樹は伊織に事の次第をぶちまけ、さやかとしばらく付き合ってもらうように頼んだのだった。
そして、なるみもさやかに真樹と会社が学校との取引がなくなってしまうことの重大さを説明して、伊織本人がさやかと付き合うことを了承したことを伝えた。
「うんうん、いいよ。
伊織さんが時間を作って会ってくれるなら、寮を巻き込まなくてもいいわ。」
さやかは喜びの笑みを浮かべていた。
そして、放課後には伊織本人からさやかの携帯に電話が入りデートをすることになったとなるみは聞かされた。
その後すぐに寮へもどったなるみを伊織が階段下で待っていた。
「大変だったんだってな。」
「えっ?」
「真樹からすげ~お友達のことをきいた。
ひどいことされたんだろ?」
「もう大丈夫です。
彼女はただ必死になると見えなくなっちゃっただけだと思うから。
伊織さんこそ、忙しいのにさやかのために時間を作ってあげるなんてありがとうございます。」
「なるみに礼を言われる筋合いはない。
いや、近いうちになるみとはデートをしなくてはいけないだろうな。」
「えっ・・・デートですか?」
「なんていうか・・・2人でじっくり話をしなきゃいけない。」
「しなきゃいけないんですか?」
「嫌なのか?」
「だって・・・伊織さん個人的に生徒には会わないって。」
「ああ、そうなんだけどな。」
「なんか話しにくいことなんですか?」
なるみは伊織の顔をのぞきこむように、尋ねた。