6月の蛍―宗久シリーズ1―
ああ………あなた……。





一目、お会いしたかった……。









いいえ。



私にとっては、お会いしなくて良かったのでしょうか。





あなたの愛しい唇から、私への恨み言を聞かずに済んだ事を、幸運と思うべきなのでしょうか。








あなた………。







雪が、綺麗です。








大粒の雪がふわふわと舞い、まるで……蛍の様です。






もうすぐ、雪が全てを隠してくれるでしょう。



私の身体を、隠してくれるでしょう。







もう………冷たさは感じない。











これは、罪。




あなたを騙していた、私の罪。












ごめんなさい………。







ごめんなさい……ごめんなさい…………。



あなた………。







許して下さいとは言いません。







許されない事は、私自身、気付いております。





重すぎる罪を背負った私には、こんな形でしか償う術はないのでしょう。





ですから、あなた……。


どうか…こんな私の為に、泣く事等はなさらないで下さいね。



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