キマイラ
「愛澤さん、愛澤さんってお菓子好き?」
今日もめげずに話しかける俺。
愛澤さんとの席は離れているため俺が話しかけに行く。
俺は寝ている愛澤さんに飴を持ってきた。
愛澤さんはムクリと起き上がり俺を見る。
いかにも寝起き顔でボーと俺を見る。
愛澤さんは身長小さいし、そんな仕草がちょっと可愛く見えた。
「飴あるよ〜?色んな味の」
俺は飴の袋を彼女の目の前にちらつかせる。
彼女は無表情で飴見ないで俺を見ていた。
うーん……。
『いらない』
言うと思いました。
いや、最悪の場合無視されると思ってたから返事してくれただけでも嬉しいかな?
「まあまあ、そう言わず。何味がいい?えーと、イチゴにリンゴ、レモンにパイナップルに、ハチミツがあるよ?」
俺は袋に入っている飴の味を言う。
珍しく今日は反応があったんだ。
是非とも飴を食べて貰いたい。
『……ハチミツ』
まぁ、無視されるだろうから俺がテキトーに選んでおこうと思っていたのだが、愛澤さんは無表情に小さい声で呟いた。