流星ラジオ
卒業も間近に迫り、焦っていたのだと思う。
そして羽美が必死に勉強している横で、何もしていない海月に苛立ちを覚えていたことも事実だ。
「羽美、構って」
「今勉強してるから無理!」
全力でノートにペンを走らせていると、彼の細い指が髪の間をすり抜けた。
執拗に頭をなでてくるこれは、何のつもりだろう。
「なぁに…?」
しかたなくペンを止めてそう訊ねると、彼は無邪気な笑顔でこう言った。
「羽美はちっさくてかわいいね」
その一言が羽美の自尊心をどれだけ傷つけたか。
気持ちを言葉にするには、冷静さが足りなかった。
胸の中に込み上げてくるのは津波のように激しい怒り。
それを止める方法など、羽美にはわからなかった。