流星ラジオ
悪気はなくとも自分のコンプレックスを指摘されたことが、羽美の冷静さをさらっていった。
長年一緒にいたせいで、相手に対する思慮が欠けていた。
自分の要領の悪さと彼の要領の良さを比較して、イライラしていた。
すべての原因は、些細などこにでもあるようなことだったのだ。
けれどどんな理由があろうとも、それだけは言ってはいけなかった。
それは彼の顔を見ても明らかだった。
明らかに表情を曇らせてうつむく彼。
ごめんと素直に謝ることができたら、どれだけよかったか。
けれど彼女は怖かったのだ。
――ごめんじゃないよ…。
その言葉がそのまま自分に跳ね返ってきそうな気がして。