流星ラジオ
「…本当に、ごめん」
「……」
海月の謝罪に何も答えない羽美に、あきらめたようなため息が降る。
彼の温もりがゆっくりと遠のく。
意地になって振り返ることのできない沈黙の中で、ドアがゆっくりと閉まる音がした。
「みづ、き…?」
ようやく後ろを向けば、殺風景な部屋が広がるばかり。
知らなかった。
彼がいなければこの部屋はこんなにも寂しい所なんだということに。
彼の存在が当たり前すぎて気が付かなかった。
海に月が浮かぶことは当たり前だ。
けれどそれがなくなる新月の日、海は月の偉大さに気付くのだろう。
なくならなければわからない。
月の美しさや、その輝きに。