月物語 ~黒き者たちの宴~



雉雀の部屋は、ちょっとした離れにあった。



宋春が立ち止まり礼を振り返る。



「着きましてございます。
雉雀様がお待ち申し上げております。」



どうやらここがそうらしい。



だが、礼は驚くばかりだった。



「ここは―──。」



礼の反応に、宋春は不思議そうな顔をしている。



宋春の容姿に気を取られて、どこをどう歩いたのかはわからない。



しかし、その扉は紛れもなく―――。




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