月物語 ~黒き者たちの宴~



「くそっ!」



―聞こえてんのか?



獅子は男の寝る鉄格子を叩いていた。



微かに男が動いた。



それで、少しほっとする。



けれど、困った。



―これじゃー助けらんねーぞ。



そこは、清罪宮の最奥にある。



清罪宮にあって、清罪宮の管轄ではない。



無理やりここを開けるのは愚か、法的にも難しい場所だった。



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