月物語 ~黒き者たちの宴~



―どうする。
取り敢えずじじいどもの支持を仰ぐしかないか。



獅子はこっそりとその場所へ潜り込んでいた。



今見つかるわけにはいかない。



どうすることもできず、その場を去るしかなかった。



カタッ―――。



別の鉄格子から、金属のすれる音がした。



―あそこは空のはずだが?



獅子は、用心深く近づいた。



―おいおいおい。



「何であんたが?」



鉄格子から出した手で、男は獅子を掴んだ。



「どうか、どうか……を。」


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