月物語 ~黒き者たちの宴~



「そうだそうだ」と、高官たちも不満をあらわにする。



「それは…」



劉巾も、詰まってしまう。



朱雀は生気のない彩夏を見やり、目を瞑った。



「王は戻ってくる。
真の姿になって。」



これは、賭けだ。



劉巾も、眉間にしわを寄せている。



王が戻ってくる保証など、どこにもない。



けれど、朱雀はそんなに不安でなかった。



「それまで彩夏の身はわたしに預けて欲しい。
それならよいだろう?」



「なっ何を…」



「全ては私に責任がある。
彩夏を罪に問うことは、私をも罰することになるぞ。
それを望む者は名乗り出ろ!」



珍しく朱雀が凄んだ。



「それは一体…、祝融様に何の責任が。
あなた様は囚われていたのですよ。」




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